第34回(その2)(邱 淑恵)

「孝」について

―― 二、「孝」についての孔子の考え――

「子曰く、父母の年は知らざるべからざるなり。一はすなわち以って喜び、一はすなわち以って懼(おそ)ると」(里仁篇)

これは「両親の年齢は、ちゃんと知っておくべきですよ」ということです。中国では、こんなに長生きしたらありがたいねと感謝の気持ちをもつのです。人間はいつか必ずあの世に行きます。親も同じです。いつかいなくなるのか、少しずつ時間が短くなってきたと心配になります。
わたしも九七歳の親がいますから、夜電話がかかってくるのが怖いです。夜の電話が来ると、父に何かあったのかと心配するのです。 親が長生きするのはうれしいですが、反面恐ろしいです。いつお迎えが来るのかわからないので心配なのです。 だから、ときどき電話して喜ばせてあげてください。

「子曰く、父在(いま)さばその志を觀(み)、父没せばその行いを觀る。三年父の道を改むるなきは、孝というべしと」(学而篇)

親のやり方に対して子供はよく反発しますね。うちの娘もそうで、いつも私たちに文句を言いますが、自分のことは一切いいません。 でも親が生きている時は、親のなすことは、慎みながら観察し、正しいのであれば親の言うように行動しなければいけませんよ」ということです。
そして「どうしても親のやり方に納得できないなら、親が亡くなってから三年かけて徐々に自分が正しいと思うやり方に変えていきなさい」ということですね。親に思いやりの心をもって、親のやり方を尊重しなさいという意味です。
なんで三年なのか。それは、人間だけが、生まれてすぐには歩けず、親が手で懐に抱きかかえて、概ね三年も世話してくれるのです。つまり、「親は子供が三歳になるまで大変な苦労をする。だから親が死んでから三年間は親の教えを守りなさい」ということなのです。
母が亡くなった時、私の兄は社長だったのですが、一年間ひげをそらなかったのです。母親を思う一つの表れなのですが、私は悲しいだけで何もしませんでした。

「子曰く、孝なる哉(かな)閔子騫(びんしけん)。人その父母昆弟(こんてい)の言を間(かん)せずと」(先進篇)

これは、閔子騫さんのお話をした時に説明しましたね。継母にいじめられましたが、親孝行で継母にも認められました。閔子騫さんは本当に親孝行もので、親兄弟が彼をいくら褒めていても誰一人非難しない、信じないえこひいきともいわない、依怙贔屓なんて絶対いわないのです。

「子曰く、父母に事(つか)えては幾諫(きけん)す。志の従わざるを見ては、また敬(けい)して違(たが)わず。労して怨みずと」(里仁篇)

「年を老いた親が、あまりに間違ったことをすれば穏やかに注意してもいいが、その注意を聞いてくれない時でも、親をけなしたりせず、恨まないことです。親は親ですから大事にしなさい」ということです。

以上が、孔子さんが弟子に語った「孝」についての話です。――

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「孝」について(PDF:38KB)

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