田村重信:
「6年目を迎えた日本論語研究会~人生を考える~」
今月の一節
子曰く、「学は及ばざるがごとくするも、猶(な)お之を失わんことを恐つ。」と。
→孔子が言った。「学問は、いくら追究しても追いつけないばかりか、なお、学ぶ目標を見失うのではないかという心配があるものだ。」 (泰伯第八)
子曰く「学びて時に之を習う。亦(また)説(よろこ)ばしからずや。朋有り遠方より来たる、亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや。」と。
→孔子が言った。「学んだことを後で何度でも復習するとよくわかるようになる。それは何と嬉しいことであるか。学問を志す同好の人が遠くから来て、学問について話し合い、意気投合する。それは何と楽しいことであるか。他人が自分を認めてくれないけれども起こったりしない。それは君子と呼ぶにふさわしい人ではなかろうか。」(学而第一)
(出典:『孔子の一生と論語』(緑川佑介著/明治書院))
57年の人生、その精髄を語る
毎年恒例となりました代表幹事・田村の年頭所感ですが、皆様との再会に御礼申し上げると共に多くの思いを皆様に語らせて頂きました。
冒頭では、今年頂いた年賀状の中で最も嬉しかった1枚(会のメンバーより、『昨年は「学而第一の「学びて時に之を習う~」の一年であった』事の報告)の紹介、そして田村自身がしたためた山本周五郎の一節「人間の一生には晴れた日も嵐の日もあります。どんな苦しい悲惨な状態も、そのまま永久に続くことはありません。」の紹介から、当会らしい幕開けとなりました。
その後は、昨年の一年間を振り返り、昨年初めの「海賊対策」や陸上自衛隊・幹部候補生学校の「田村文庫」設立の経緯など、実に多くの出来事があった事を披露しました。
途中では、かつての師でもある大平正芳・元内閣総理大臣の思い出なども。一橋大学から旧・大蔵省出身に進み、やがて宰相を務めた大平首相を一言で語ると、実によく本を読む「哲人」であったそうです。
後半では、現在の日本論語研究会が慶應義塾大学で開催されるに至った経緯の紹介もありました。当初は赤羽で開催されていたのですが、第2回より学び舎を移し現在に至ります。
そもそものきっかけは慶應義塾大学・法学部教授で当会の最高顧問でもある小林節先生とのご縁であった事、それを取り持ってくれた方々など、全ては「人の支え」あってこそという披瀝も。
田村の現在も、そして当会の現在も人の縁。会を支えて下さる多くの皆様のお蔭で、日本論語研究会は成り立っています。
「人生を考える」のテーマに準え、人の幸せについても田村なりの所感を紹介させて頂きました。捉える人により、幸せや充実を感じられる幅は異なります。畢竟、人それぞれの感じ方です。
講演の中では、田村がこの一年で注目した書籍についても披露されました。
田村の書評は自身のブログでも好評を頂いておりますが、その中でも精選の数冊を紹介させて頂きました。一番の一冊は、1980年代に400万部のベストセラーを誇った『気くばりのすすめ』(鈴木健二著:講談社文庫)。
読後の感動を共に分かち合いたいとの思いから選びに選んだ一節「一粒の豆」の朗読には、会場からもすすり泣きの声がどこからともなく響き渡りました。
次回2月の講師は、ジャーナリストの桜林美佐(さくらばやし・みさ)先生になります。
今年も一層の会の充実を図って参ります、皆様の更なるご指導ご愛顧のほどお願い申し上げます。
講義で紹介された書籍一覧
当日の田村の講演で取り上げた書籍は以下の10冊になります。
興味頂けましたらクリック頂けると幸いです、また福岡・久留米在住の方は田村文庫(陸上自衛隊・幹部候補生学校内)でもお読み頂けます。